花粉症という現代の病名がついて現代特有のものかと思いがちなのですが、東洋医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』の『素問(そもん)』に合致する文章に会います。
「金匱真言論篇(きんきしんげんろんへん)」には、「天に八風あり・・・(中略)・・・八風発して経風となる。五臓に触れて邪気病を発す」と言っています。
これは自然界に起こる風の向きが八方向あり、これが邪気を発して五臓、いわゆる“カラダ”に入りこんで病気を発症させるものであるといっています。
「東風は春に生ずる風であり、この季節は肝が犯され易く、その場合の兪(ゆ)(集まる場所)は頸項(けいこう)(くび・うなじ)にあります。
従って、春の邪気は頭部に発しやすく・・・(中略)・・・故に春の気節には鼻がつまったり、鼻血が出たりすることが多くなる。」
頭部に病を引き起こすのが風邪(ふうじゃ)の特徴なのですが、春の風(ふう)はただの風(ふう)ではなく、大量のスギやヒノキの花粉を伴ってやってくるので、よりチカラを増して襲ってくると言って良いでしょう。その頭は顔を含めた頭部です。したがって、眼や耳や鼻も頭部に含まれます。
そして、顔は陰陽のどちらかというと陽になり、3種類ある陽のなかでも「陽明(ようめい)」といわれる陽気がもっとも盛んな領域で気血が溜まりやすい場所です。これが溜まりに溜まって花粉症を発症させるのです。
ちなみに、顔は手足、胴体とは違い、寒くても覆うことなく過ごすことができるのもそれが理由になります。
それでは、代表的な症状の予防や対処を考えてみましょう。
まずは、「くしゃみ」です。呼吸の入り口である鼻にが外邪(がいじゃ)花粉が入り込むことで起きるので、その入り口を守らなければいけません。その襲ってくる外邪(がいじゃ)を防ぐのが衛気(えき)の仕事になりますので、体表を守る衛気(えき)を元気付けます。これを「衛気を発散させる」といい、大椎(だいつい)というツボを使います。
「鼻づまり」は、熱が溜まって痰化している現象とみて、豊隆(ほうりゅう)、そして、事件現場の鼻のツボである迎香(げいこう)を使います。
「目のかゆみ」は。外邪に対処するために陽明経に気血が集まります。その熱を降ろす必要があるので、熱をさます効果をもつ合谷(ごうこく)、内庭(ないてい)を使います。
なお、当院では耳ツボで「風邪(ふうじゃ)」に対してまけないように衛気(えき)を元気にするツボ、そして、症状を引き起こしている現場の「鼻」、「目」に対するツボも使ってより効果を出すようにしております。
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