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瘀血(おけつ)

執筆者の写真: Tomokazu IchikuraTomokazu Ichikura

瘀血(おけつ)とは、体内で停滞した血液のことです。これは東洋医学独特の考え方で、『瘀(お)』とは、滞りを意味します。血液の流れが悪くなると出来てしまうもので、


①血管の外に溢れた血液(痣(あざ)も含める)

②脈管内にあるが、臓器内で滞り詰まったもの

③脈管内で血流が滞り留まってしまったもの


を指します。

問題なく血液が流れていれば、清流のようにサラサラと流れるのですが、血糖が高くなったり、白血球が仕事をすると発生するフリーラジカルが増えたりすると流れが悪くなり、留まったりすると池や沼の水のように澱(よど)みだします。血液中の構成成分が増えすぎると、粘稠度(ねんちゅうど)が高いドロドロの状態になります。


サラサラとした血が心臓を出て、身体中を巡って戻るまでに“およそ26秒”ほどです。そうすることで隅々の細胞まで酸素と栄養が行き届き、本来の姿(=健康)が保たれるのですが、細い血管にドロドロとした血液へと変化し始めたら、本来あるべきスピードで酸素と栄養が行き届かなくなっていきます。いわゆる、酸素と栄養の欠品状態が起こっていきます。


しかも、ドロドロであるということで、さらなる問題が起きます。それは血管が細くなっていけばいくほど詰まりやすくなっていくということです。もっとも細くなる毛細血管では詰まってしまい、栄養も酸素が隅々まで遮断されてしまいます。血液そのものもゼリー状やレバー状になってしまっては目詰まりを起こし、もう心臓には戻れません。しかも、すべての血管のうち、90パーセント以上を占めている毛細血管は網目になって面上になっているので、詰まる場所が悪いとその影響が広範囲に及び、その状況が長時間に亘りますと、病気や合併症となって現れるのです。


瘀血(おけつ)の臨床所見は、顔が黒ずんだり、皮膚が乾燥してぼろぼろになったり、皮膚や爪、唇の色が青紫になったり、痛む場所が固定化し、刺すような感じになったり、痺れたり、舌の色が青紫になったり、舌の裏側に青筋が出たり、舌体に黒ずんだ班状(はんじょう)のものが出てきます。皮膚からはクモ状の血管腫(けっかんしゅ)(東洋医学用語では、細絡(さいらく)といいます)となって認識できます。血の巡りの悪いところを迂回しつづけて皮膚表面まで来てしまったようです。

女性ですと、月経の際、ゼリーかレバーのような塊(かたまり)のようなものとして確認できます。また、ドロドロの血液を流すべく、血圧を上げたりもするので、高血圧の方は瘀血(おけつ)があると思って良いと思います。


〈参考〉

『中医診断学』 上海科学技術出版社 上海中医薬大学

『瘀血という病気』 東京図書出版会 岡田耕造

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