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秋の養生

執筆者の写真: Tomokazu IchikuraTomokazu Ichikura

急に気温が下がる様になり、日中の陽射しで過ごしやすく、朝夕の寒さを感じるようになりました。

気温が下がると下図のように飽和水蒸気量も一気に下がり、この季節は冷えと乾燥と両方をケアしないといけません。


かつて、モンゴル民族が建てた元(げん)の文宗(ぶんそう)に飲膳大医(いんぜんたいい)であった忽思慧(こつしけい)が著した『飲膳正要(いんぜんせいよう)』(1330年)には、

秋は気候が乾燥しているので、

「秋は風邪におかされぬよう用心せよ …(中略)… 飲食物を冷やしたり衣服を寒くしてはならない。」

とあります。

その後、満州民族が治めた清(しん)において、曹庭棟(そうていとう)が75歳のときに著した、『老老恒言(ろうろうこうげん)』(1773年)の対処方法が、一歩踏み込んでいて良いので紹介します。


外出について、

「天候が変わりやすいから、綿着を持っていくのがよく、、、」


防疾(予防)について、

「ちょっとでも風がやってきたらと思ったら、口や鼻を覆って疫病を避けよ。

窓の隙間から入る冷気はたとえ弱くても気をつけなければならない。」


とありますので、

・外出する際は、ちょっと羽織る上着を用意する

冷たい風にさらされるときは手をかざして冷気を吸い込まいようにする

・窓は閉めてから寝る

ようにしないといけません。


カラダが冷えるとできるだけ体温を下げないように血管がカラダの中に入り込んだり、血管が細くなったりして血流が悪くなります。一方で、血流量を保つために血圧を上げていきますので、冷え性を自覚されている方は少しの冷気にもお気をつけください。

そして、漢民族が治めた明(みん)の時代に書かれた医学大全書の『普済方(ふさいほう)』(1376年)には、次のようにあります。


「陰暦八月一日以後には、少しの火で良いから足を暖めておいて、体の下半身を冷やして元気を失ってはならない。いつも気は下にあるようにし、上方から洩らしてはならない。…(中略)…春秋にはゆっくり寝て、早く起き、…(中略)…早く起きると言っても鶏がなく前ではいけない。冬でも急に暑い時があり、夏と言っても急に涼しいときがある。人が流行病を患うのは、みなこのような時である。このような時は調気(ちょうき)、調息(ちょうそく)をして寒熱を和らげれば患いから逃れられる。」


以上のことを踏まえてみると、

・冷たくなっているのを自覚したらこまめに温める

・夜更かしをしないで、睡眠時間を確保する

・汗を掻くほど厚着はしない

・膝を出さないような履き物を身につける

・くるぶしを隠すような靴下を履いたりして、脚・足先を冷やさない

ようにしてお過ごしになるというのが来たる冬に向けて良いようです。

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