『養生訓(ようじょうくん)』の「巻一 総論 下」の冒頭文には次のことが書かれています。
〈朝夕の食後にながく楽な姿勢で座ってはいけない。横になって眠るようなことは、決してしてはいけない。長時間座り、横になって眠ると、気がふさがって病気になり、そうする期間が長くなると命が短くなる。食後はいつも三百歩あるくと良い。時どき五,六町歩あるくくのがもっとも良い。(一町=およそ109m)〉
『養生訓(ようじょうくん)』の著された時代(1712年、つまり江戸時代初期)は戦(いくさ)がなくなり、安心して農作業ができるようになったことから飽食の時代に入っており、現在と状況がよく似ています。
いつ何を食べ、どのような順番で栄養をどのくらい摂るかということが食事の肝となりますが、貝原益軒(かいばらえきけん:1630~1714)は食後の過ごし方にも注目していました。
これを現代医学でみるとどうなるでしょうか?
TANQ ―「?」があるなら実験だ 立命館大学理系スペシャルサイト
において、生命科学部の向英里教授(当時は准教授)が実験をして、わかりやすく解説をしています。
〈食後の血糖値は約1時間後がピークとなり、2時間後にだいたい元に戻ります。食事をすると血中の糖に反応してインスリンが膵臓から出て、その糖を細胞のエネルギーに変えますが、余った糖はグリコーゲンや中性脂肪になります。グリコーゲンは肝臓や筋肉で消費されますが、中性脂肪が多くなると肥満の原因になってしまいます。
したがって、血糖値がピークになる前に運動すれば、生活習慣病がそれだけ遠のくことになります。「15分後に、15分間、15w(ウォーキングとジョギングの間)の運動」が最適になると考えられるとしています。〉
ランチを食べに外に出ていくことは、社内食堂を利用したり、持参した弁当を職場で食べ食後はデスクに突っ伏して寝て過ごすより良いことかもしれません。自宅で仕事をする方は、ランチの後は近所を散歩する時間を持ち、時間に余裕がある方、血糖値に不安を抱えている方は毎食後軽く散歩するのがお勧めです。
食べたあとに走ることは消化活動を妨げることであるし、運動靴がないと走ることはなかなかできることではありません。気持ち早足くらいで歩かれるので十分だと思います。
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